女性内科で扱う主な疾患

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  • 貧血
  • 甲状腺疾患
  • 骨粗鬆症
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 不眠症
  • うつ病 など

貧血

貧血は、血液中に含まれるヘモグロビンが少なくなってしまい、全身に十分な酸素を供給できなくなってしまった状態です。なお、貧血を招く疾患には様々なものがありますが、女性には鉄欠乏性貧血がよくみられます。ヘモグロビンを作るための材料である鉄などが不足することで起こります。主な症状としては、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、疲れやすいなどがあります。そのようなときは、主に薬物療法によって鉄を補給します。月経のある年代の女性の場合、月経による出血のため鉄が奪われやすく、女性アスリートの方は鉄の需要が高くなっているため、鉄欠乏性貧血になりやすいので、十分にご注意ください。

甲状腺疾患

甲状腺とは、男性で言う喉ぼとけのすぐ下にある小さな臓器です。全身の新陳代謝に関わるとされる甲状腺ホルモンを分泌します。この甲状腺に関する疾患としては、主に甲状腺ホルモンの合成・分泌が過剰になる甲状腺機能亢進症と、甲状腺ホルモンの合成・分泌が低下する甲状腺機能低下症に分けられます。共に甲状腺の触診や血液検査などで診断します。前者の代表的な疾患としては、バセドウ病、甲状腺炎などがあります。甲状腺機能亢進症では動悸、高血圧、不整脈、発汗、不安、不眠、体重減少、排便回数増加などの症状がみられます。治療は甲状腺ホルモンの合成を抑えるお薬の服用、放射線ヨード、手術療法があります。一方、後者の代表的な疾患には橋本病などがあります。甲状腺機能低下症では無気力、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘などがみられます。治療は甲状腺ホルモンを服用します。共に専門医による治療が望ましいなどの場合は甲状腺専門医が在籍している医療機関をご紹介します。

骨粗鬆症

骨粗鬆症は、骨量が低下して骨が脆くなってしまう病気であり、加齢(老人性骨粗鬆症)、女性ホルモン低下(閉経後骨粗鬆症)、不摂生な生活習慣が原因の原発性骨粗鬆症と、続発性骨粗鬆症に分けられます。女性の場合、50歳前後で閉経を迎えることにより、女性ホルモンが急激に減少します。それに伴い、女性ホルモンが抑えていた骨破壊細胞の働きが一気に高まり、骨形成が追いつかなくなって骨がスカスカの状態になります。老人性骨粗鬆症に関しては、男女関係なく、加齢によって骨リモデリング(骨を壊す細胞による骨吸収と骨を作る細胞による骨形成を繰り返すこと)のスピードが落ちてしまい、骨が折れやすくなります。一方、続発性骨粗鬆症は、甲状腺機能亢進症、関節リウマチ、糖尿病、慢性腎臓病などが原因となって発症します。この場合は、原疾患の治療が必要になります。なお、骨粗鬆症は若い世代でも起こることがあります。例えば過度の運動を行っている女性アスリートの場合、エネルギー不足から月経が止まって女性ホルモンが低下し、あたかも閉経後の女性ホルモン状態となってしまい、骨を壊す細胞の活動が活発になった結果、骨が脆くなり骨折しやすい状態となっているケースもあります。そのようなときは、女性アスリート外来で対応いたしますのでご相談にお越しください。

糖尿病

糖尿病は、細胞内に糖を取り込むことができず血液中に糖が溢れてしまう病気です。健康な人の場合、膵臓から分泌されるインスリンという糖を細胞内に取り込むホルモンが正常に働くので、血液中の糖を細胞に送り込んでエネルギー源にしたり、脂肪やグリコーゲンに変えて蓄えたりすることができます。糖尿病になると、このインスリンが足りなくなったり、足りていてもうまく細胞に作用しなくなったりするため、血糖値が高い状態が続きます。放置していると糖尿病神経障害や糖尿病腎症、糖尿病網膜症などを引き起こしやすくなるので、なるべく早い段階で治療を開始することが大切です。

高血圧

血液が血管の壁を押す力のことを血圧と言います。この圧力が高い状態が続くと高血圧と診断されます。外来時に血圧を繰り返し測定し、収縮期血圧が140㎜Hg以上、もしくは拡張期血圧が90㎜Hg以上となる場合が基準となります。高血圧を放置していると、血管が次第に厚く硬くなっていき、動脈硬化の状態となります。さらに放置し続けると、心筋梗塞や狭心症、脳出血や脳梗塞、腎機能低下症などを引き起こす原因となります。そのため、減塩による食事療法や運動療法、薬物療法を行っていきます。

脂質異常症

脂質異常症は、血液中に含まれているコレステロールや中性脂肪の濃度が正常でなくなる病気です。もともとコレステロールは細胞膜やホルモンの材料に、中性脂肪は重要なエネルギー源になります。しかし、多くなりすぎると、様々な障害を引き起こします。例えば血管内のコレステロールが内部に溜まると、粥状の物質ができ、これにより粥状動脈硬化と呼ばれる動脈硬化が起こります。進行すると、粥状に硬化した部分にできていたプラークが破裂し、冠動脈が閉塞して心筋梗塞や脳梗塞などの原因となります。中性脂肪を摂り過ぎたときは、内臓脂肪となって肥満の原因になります。内臓脂肪はメタボリック症候群(高血圧、糖尿病、脂質異常症のうち二つ以上があてはまる状態)のリスクが高まり、動脈硬化を急に進めてしまうことから注意が必要です。また、肝臓に脂肪が溜まった脂肪肝から非アルコール性脂肪性肝疾患や肝硬変、肝がんに進むこともあります。そのため、まずは運動や食生活などの生活習慣を見直して、それでも改善しない場合は薬物療法を行います。

不眠症

睡眠時間には個人差があるため、7時間以上眠っているにも関わらず睡眠不足を感じる方がいる一方で、3~4時間の睡眠でも全く問題のない方もいます。そのため、判断が難しいケースもありますが、寝つくまでに時間がかかる、夜中に何度も目が覚める、予定時間よりもかなり早く目覚めてしまう、眠りが浅いといった夜間の睡眠に問題があり結果として日中の活動に支障があってお悩みのある方は、不眠症の可能性がありますのでお気軽に当院をご受診ください。

うつ病

うつ病は、気分が強く落ち込み憂うつになる、やる気が出ないなど精神的な症状のほか、眠れない、体がだるい、疲れやすいといった身体的症状が現れる病気です。原因は脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の分泌が減少して十分に機能しなくなるのに加え、ストレスや環境変化など、様々な要因が絡み合って発症すると考えられています。脳がうまく機能してくれないため、物事の見方が否定的になり、自分がダメな人間のように感じられてしまいます。そのため、いつもなら難なく乗り越えられるようなストレスもひどく辛く感じられて、さらに自分をダメに感じてしまうという悪循環が生じてきます。

そのようなときは、休養やストレスを軽減するような環境調整、薬物療法、認知行動療法などの精神療法を行います。具体的には、抗うつ薬によってうつ症状の原因となっている脳内神経伝達物質を増やしていきます。漢方薬を服用することもあります。さらに、精神療法によって物事の考え方やとらえ方を見つめ直し、自分の陥りやすい思考や感情パターンを修正していきます。薬物療法を行っても症状が改善しない場合、認知行動療法などの精神療法が必要な場合、うつ病以外の精神疾患が疑われる場合は専門医をご紹介させていただきます。